廃棄物ゼロと品質向上をめざして
― 食の未来を支えるミナミ産業のコアテクノロジー
微粉砕技術:ミナクロンミル(特許取得)
ミナミ産業の微粉砕技術は、豆腐製造時に廃棄される「おから」の無排出化を目指した開発から始まりました。
従来の衝撃粉砕やジェットミル方式では、酸化による風味劣化や、連続運転の難しさ、コストの高さなど多くの課題がありました。
そこで当社は、気流式粉砕をベースに独自改良を重ねた「ミナクロンミル」を開発。
脂質が多く微粉砕が困難な大豆を、20μm程度まで安定して粉砕し、脂質の劣化も抑えることに成功しました。
この技術により、「おからを出さない豆腐・豆乳製造技術」が実現し、業界初の製法として高い評価を獲得。
現在ではその応用範囲を広げ、米粉や地域産素材、機能性素材の粉砕など、さまざまな分野で活用が進んでいます。
ミナクロンミルの特徴
発熱が少ない
粉砕時の発熱が少ないため材料の熱変性が少なく、風味、栄養分を損なわない粉砕が可能です。
また、従来の衝撃粉砕方法では難しかった大豆等脂質の多いものも粉砕可能です。冷却機能もついております。
応用範囲が広い
備長炭のような非常に硬い原料も、原料同士の衝突で粉砕を進めるため、設備を摩耗させることなく粉砕可能です。
繊維が多く、たわんで衝撃を吸収してしまうような食品(海苔等)も、表面からこそげるように粉末化していくので、微粉化が可能です。
分級性能が優れている
気流を利用した独自の分級機能でシャープな粒度分布が得られます
機械の摩耗、金属による汚染が少ない
インペラやケーシングと被粉砕物との衝突が少ないので、これら機械部分の摩耗が少なく、機械構成成分である鉄による粉砕物の汚染がほとんどありません。
構造がシンプルで掃除しやすい、多品種対応可能
粉砕機本体は、回転翼が駆動軸に取り付けられているだけで、スクリーンやかみ合わせ部分がありませんから、回転翼を取り外すことにより簡単に丸洗いすることができます。
コンタミネーションのリスクもなく多品種の原料に対応できます。
エネルギー効率が良い
インペラで被粉砕物に衝撃を与えるわけではないので、エネルギーのほとんどはインペラを駆動するために使われます。また、インペラの回転で気流を起こすため、同じ気流粉砕でもジェットミルのように大量の外部空気を必要としません。
穀類全般 大豆 米(玄米含む)全粒小麦
- 乾燥野菜(葉物類)
- 昆布、わかめ、海苔、ひじき他海藻類
- 抹茶、お茶、紅茶
- 高麗人参、乾燥椎茸、霊芝
- 焼成サンゴ、焼成貝殻
- 大麦若葉、ケール、菊芋
- 米ぬか、乾燥おから
- フライドガーリック、ショウガ
菊芋超微粉砕品事例
D50 9μm以下の菊芋パウダー
累積% | d10 | d20 | d30 | d40 | d50 | d60 | d70 | d80 | d90 | d95 |
粒度 μm | 3.4997 | 4.7083 | 5.9816 | 7.3340 | 8.7896 | 10.427 | 12.430 | 15.223 | 20.424 | 26.624 |
大豆まるごとのメリット
- 大豆洗浄や浸漬、おから分離工程がなく、大幅な作業時間短縮
- 産業廃棄物フードロス削減
- 大豆洗浄時や浸漬水の排水汚染リスクがない
- 浸漬工程がないので販売機会喪失や原料ロスが少ない
粉砕物比較(大豆)
気流粉砕したパウダーは熱によるタンパク変性や衝撃による油にじみが無いため、水と混ぜるとタンパク等の水溶性成分がすぐに溶け出してきます。
ウルトラファインバブル(UFB)技術:ミナバブル(特許取得)
UFB技術開発の出発点も、おから無排出化技術の研究過程にありました。
当初は乳化を目的とした静止型混合装置の研究からスタート。
やがてマイクロバブル技術の応用が洗浄・食品用途で注目され始めたことを契機に、より高効率なUFB生成を目指し、形状・流速・混合方式などを再設計。
試作と評価を繰り返し、静止混合型で安定したUFB発生を可能にする「UFBジェネレーター」を独自開発。
省エネルギーかつ高効率でUFBを安定供給できる装置として、特許を取得しています。
現在では、UFBを活用した鮮度保持・大豆臭低減・洗浄・含浸処理など、食品加工への応用も進展中です。
UFB(ウルトラファインバブル)とは?
UFB(Ultra Fine Bubble)とは、直径1マイクロメートル未満(1μm以下)の極めて小さな気泡のことを指します。
肉眼では見えないほど微細で、水中に長時間安定して存在するという特徴があります。
特徴と効果
高い洗浄効果
ナノサイズの気泡は浮上せずに水中を漂い続け、物質表面に浸透しやすくなります。
微細な気泡が素材の微細な凹凸にも入り込み、洗浄や処理の効果を高める為、UFB技術の多くは洗浄用途に使用されています。
UFB技術の食品応用
ミナミ産業株式会社は洗浄用途だけにとどまらず、食品への応用研究を進めています。UFBは、持続可能な社会を支える「食×テクノロジー」の鍵となる可能性を秘めています。
ミナミ産業株式会社は独自のUFB発生装置「ミナバブル」を開発し特許を取得しました。
この装置を使うと100㎚(ナノメートル)程度の超微細な泡を効率よく発生さえることができます。
ビールの泡がおおよそ2mm程度ですのでUFBは1/20,000 当社UFBを1cmの蟻とするとビールの泡は200m級の高層ビルほど違います。


ナノサイト
ナノレベルの微細な泡は肉眼では確認できず、専用の解析機器が必要です。
ミナミ産業株式会社ではウルトラファインバブル(UFB)や微粉砕製品の特性を正確に評価・管理するために、ナノ粒子解析装置「ナノサイト(NanoSight)」を導入。
粒子の大きさや分布、挙動を自社内で定量的に測定・可視化する体制を整え、研究開発や品質管理に活用しています。

当社でUFBの保存試験(個数密度(個/ml)の経時的変化)を実施。
密封したガラス瓶中に保存したUFB水中の個数密度は、最初の1~2週間でやや減少するものの、その後は数か月にわたり安定に存在することを確認しました。
酸素や窒素など様々なガスを封入可能
特定の目的に応じて、様々なガスをナノバブル化して液体に封入することができます。例えば窒素・アルゴンなどの不活性ガスをUFB化すると不活性ガスとの置換で液中の溶存酸素を低減でき、食品の酸化抑制や鮮度保持や品質改良に活用できます。他にも炭酸ガスや酸素など用途に合わせて様々なガスを使用することが可能です。例えばオゾンを使用して高濃度オゾン水も作れます。
UFB発生装置のメカニズムは、加圧溶解型、静止混合型、微細孔型、エゼクターやベンチュリーのようなキャビテーション型などがあります。
当社静止混合型を進化させた独自方式で非常に効率よくUFB発生させることができます。
具体的な効果
大豆浸漬のおける効果
大豆浸漬に窒素UFB水を用いる調査を実施し、大豆水抽出液のSH基含量を測定したところ、UFB水を用いると大豆タンパク中のSH基含量が増加しており、水道水よりも還元的な環境を作っていることが推測されます。
左から1:無処理水浸漬・水道水摩砕2:窒素UFB水浸漬・水道水摩砕3:蒸留水浸漬・無処理水水摩砕4:蒸留水浸漬・窒素UF
窒素UFB水を、おからゼロの全粒豆腐製造の製造水で使用した実証試験では、大豆の青臭みの原因であるヘキサナールが減少していることが分かり、大豆臭低減効果を確認しました。
これらの技術を活用して豆腐のロングライフ化に取組んでいます。
従来の豆腐は賞味期限が短く、流通過程や家庭内で賞味期限切れによる廃棄が発生していました。
私たちはウルトラファインバブル(UFB)技術を活用し、鮮度を保持しながら長期保存可能な豆腐製造技術を開発。これにより、豆腐の流通可能期間を延長し(6か月)、廃棄リスクを大幅に削減することに成功しました。
た大豆臭を低減し、長期保存可能なプラントベースミートやプラントベーススイーツの商品開発が進んでいます。
当社では、ウルトラファインバブル(UFB)水を活用した野菜・青果物の鮮度保持に関する研究を進めています。
特に、窒素UFB水によってアボカドやカット野菜の酵素的褐変を抑制する効果を確認しており、食品ロス削減や品質保持に大きな可能性を示しています。
この技術はさらに応用され、伊勢海老など甲殻類の黒変抑制にも導入実績があり、高付加価値な水産物の流通・輸出に貢献しています。
今後は農・水産を問わず、幅広い食品分野での展開を進めています。
油脂の酸化抑制技術
ミナバブルを用いて窒素UFB処理した菜種油について、通常の食用油の試験法に基づき60℃での保存試験を行なっていただいた結果、包装時に溶存酸素量を1mg/L以下に低減させると、油脂の酸化が抑制され、賞味期限の延長につながることが確認されました。(特許出願中)
またオリーブオイルなどにおいても、開封後のフレッシュ感を長期間維持する保存技術として効果が確認でき、今後ロングライフ食用油開発が期待できます。
未来に向けて
微粉砕技術とUFB技術は、どちらも「捨てられていた素材を活かす」「よりおいしく、より環境負荷の少ない食品づくり」を目指す中で生まれました。
我々はオープンイノベーションで各企業と連携して応用範囲を広げていきたいと考えています。
今後もミナミ産業株式会社は、技術と現場の両面から食の課題解決に挑戦してまいります。