持続可能な未来のために ― 環境負荷を低減する新しい「食」の提案
近年、畜産業が排出するCO₂などの温室効果ガスは、交通機関に匹敵するレベルとされ、その環境への影響は年々深刻化しています。国際機関の試算では、2050年には全体の約37%を占めるまでに増加する可能性も指摘されています。
一方、植物由来たんぱく質(例:大豆)は、牛肉と比較して1/85の温室効果ガス排出量であり、非常に低い環境負荷で生産可能です。
プロテインクライシスへの対応 ― 私たちの基本的な考え方
私たちは、畜産品や水産品そのものを否定するものではありません。
しかし、このまま現在の食料生産・消費の構造が続けば、環境への負荷はさらに高まり、持続可能性が損なわれることは避けられません。
そこで私たちは、以下のようなアプローチで「食のパラダイムシフト」を目指します
- 限られた動物性たんぱく資源を補完・代替する
動物性たんぱくに依存しすぎない、環境負荷の少ない植物性たんぱくの活用を推進します。低環境負荷で持続可能な選択肢として、栄養・美味しさ・利便性のバランスを追求したプラントベースフード開発を行っています。 - 栄養とおいしさの両立
大豆やその他の植物原料を独自技術で加工し、たんぱく質としての機能性を活かしながら、食感・風味にも妥協しない製品開発を目指しています。 - ハイブリッド型への挑戦
完全な代替に加え、動物性と植物性を組み合わせた「ハイブリッド製品」にも注力し、栄養バランス・コスト・味の面で現実的なソリューションを提供します。
現実的な味覚と栄養ニーズに応えつつ、環境負荷の低減を実現する新たな選択肢を提案します。 - 地球規模の課題への貢献
人口増加や気候変動により世界中でたんぱく資源の需給が不安定化する中、日本発の技術で安定供給モデルの構築を目指します。
「未来の食」は、今の私たちの選択から始まります。我々ミナミ産業は、食の技術革新を通じて、地球と人にやさしい持続可能な社会づくりに貢献してまいります。
パリから世界へ ― 豆腐を通じたプラントベースフードの可能性
私たちは2015年、フランス・パリに合弁会社を設立し、豆腐や大豆食品を中心としたプラントベースフードのアトリエ&レストラン「TOFUYA PARIS」を展開しました。
大豆の栄養価の高さと環境負荷の低さを世界に伝える挑戦として、現地での製造・販売を通じて得た経験は、現在の製品開発・輸出事業の大きな礎となっています。
海外での豆腐普及の課題 ―「大豆臭」への対応
日本では当たり前に親しまれている大豆製品ですが、欧米では「大豆特有のにおい」が敬遠されがちです。
このにおいの主な原因は、大豆に含まれるリポキシゲナーゼ(酵素)が酸素と反応して生成するヘキサナールという成分にあります。
また、日本人は豆腐の香りに馴染みがある一方で、スイーツや飲料用途では大豆臭を好まない傾向もあり、用途によって風味の調整が必要です。
私たちの技術とソリューション
当社ではこの課題に対し、窒素UFB(ウルトラファインバブル)技術を活用した独自の大豆処理方法を開発し、大豆臭の低減に成功。現在は特許も取得済みです。
この技術により、風味を抑えながらも栄養価はそのままに、大豆本来の価値を最大限に引き出すことが可能となりました。
グローバルに展開する製品群
パリでの店舗運営の知見を活かし、私たちは以下のような製品を開発・輸出しています
コロナなどの影響もありパリの法人は閉鎖し「TOFUYA PARIS」での挑戦は終わりましたが、現在でもリッツカールトンをはじめ多くの店舗に大豆製品を輸出しています。その経験は今も私たちのグローバルな商品開発と技術革新の原動力となっています。
今後も「日本の大豆文化×テクノロジー」で、世界に新たな食の価値を提供してまいります。